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登場人物
aさん 目が見えない
bさん 耳が聞こえない
あらすじ
aさんは自宅にいる時、急にくらっとめまいがした。それで起きたのはいいのだが、何やら床が硬い。そして冷たい。風を感じる。寒い。さっきまでいた所とは違うようだ。それで這って周りを調べるに、どうやら階段があるらしい。いよいよおかしいことだ。家では両親がお金を出してスロープを造ってもらっているというのに、ここは違うというのか。ならばここはどこだ。私はどう動けばいいのだ。………いやダメだ。動いてはならない。階段でこけるのは大ごとだ。じっとしていよう。ここへ誰かが来るのを…、ん?ここに誰かが果たして来てくれるだろうか。まずここはどこなのだ。さっぱり分からない。ヘンテコな空間に突き飛ばされたのではあるまいか。人はいるのか。それとも、誰もいないと言うのか。いや、希望は最後まで残しておくべきだ。…………む?そこに誰かいるな?うめき声が聞こえたぞ。おい、そこの人!ははは、もう一人いたのか!誰かは知らないが、コンタクトを取ってみよう。ここがどこか知っているかもしれないぞ。「あの、すいません」…、…。返事がないな。余計不安になってきたぞ。「あのぅ」。。うわっ、急に突き飛ばしてきやがった。なんて野郎だ。酷いじゃないか。だがやはり体は温かかったな。人間だ。間違いない。あっ!お前どこへ行く!待て!助けてくれ!! 戻ってこい!ああ……。もう、何がどうなってやがる。まさか、全部全部あいつの仕業なんじゃないのか?俺がこんな所にいるのも、あいつが連れてきたからじゃないのか?だが、ちゃんと施錠された自宅にずっといたってのに、どうしてそんなことに……。あれっ、あいつ、戻ってきた?どうしてだ?む、目の前に立ち尽くしやがって。俺が目を悪くしているのをいいことに、好き勝手してやがる!……こらっ!つついてくるな!どっか行け!近寄るな!ウチへ帰せ!!ああ、どうしようもなく寒いな。ここは。一体どうすれば良いというのだ。
bさんも、ようやく相手を目の見えない相手だと認識したが、意思の疎通ができなくて困惑している。風はいよいよ強まり、階段を降りきっても屋上からの出口は見つからない。
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