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「剛さんお風呂入れておきましたよ。服も片付けておきますのでそこらへんにまとめて置いて下さい」
「助かった、ありがとう」
洗面台で顔を洗いハンガーにコートをかける。鏡に映る自分の顔は真っ赤で何歳も老けて見える。
舞に悪いので脱いだ服を畳み、洗濯機の上に置く。
シャワーだけで済ませようとしたが掃除機をかける音が聞こえたので湯船に浸かることにした。
掃除機の音が止まりその代わりに足音が近づく。
「剛さん、変に気を使わないでくださいね。私は大丈夫ですので」
「ありがとう」
そう言ってすでに使っていた体をさらに首まで浸からせる。首と肩が水面に触れた時にちゃぽという気の抜ける音がした。
俺は舞との出会いを思い出す。
きっかけはスミカとの別れ。頭に浮かんでくる情景は俺のトラウマであり心の支えであった。
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