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「……ああ、兄貴か…なんだよ。電話なんて珍しいな…。あ?別れた?姉貴と?……あんた何やって……本気で好きになった奴に会いに行く?……何言ってんだ…ったく…」
「酷いな…弟よ。俺はお前に会いに来たんだぜ?」
兄の声が耳元で聞こえた。
気づいた時には口をハンカチで塞がれた。いきなりのことに反応が遅れたが俺は振り払おうと懸命に暴れる。
俺は体格だってそこそこで身長だって高い方。割かし力もあるのにびくともしない。
俺の頭は次第にぼんやりとしてくる。頭が重い、何も考えられない…沈んでいく。
俺の体は崩れる。しっかりと抱き止められる気配を感じて俺の意識はそこで完全に途切れた。
「……可愛い俺の弟…ああ、厳密に言えばもう違うか…。でもいい、これからはずっと兄ちゃんと……俺と一緒にいような…?」
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