10人が本棚に入れています
本棚に追加
お年玉のガーニー
≪明日、空いてる?≫
怜央から、LINEが届いたのは、1月1日の朝だった。
布団から手だけ出し、同じ部屋のお姉ちゃんに気付かれないよう、アプリ画面を開く。
≪今日も、空いてるよ≫
送信して、枕に顔をうずめる。
この前のクリスマスから、私たちは付き合っている。
もうすぐ私たちは中3になる。春からは勉強で忙しくなるから、この冬休み中にデートしよう、と約束していた。
会いたいな。今日じゃダメかな、と思っていると、またLINEが届く。
≪ごめん、今日は大宮≫
そうだった。はあっと、ため息がでる。大みそかと今日は、大宮に住むお婆ちゃんの家に行くって言ってた。
≪あいたい≫
点滅するカーソル。
送信は押せない。
めんどくさいと思われたくないし、断われたら悲しいし。
「楓……いま何時」
お姉ちゃんが、2段ベッドの下からつぶやく。
「おはよ。6時半」
むくり、と起き上がる気配がした。きっと水を飲みに行ったのだろう。
≪明日の朝9時に、おまえんち行く≫
OK、のスタンプは、笑顔で跳ねるウサギのイラストだ。私の気持ちを表すのに、足りているような、足りていないような。
お姉ちゃんが戻ってきて、あけましておめでとう、と言った。私はわざと寝息を立てる。たぶん、顔が赤くなっていたから。
最初のコメントを投稿しよう!