1 告別式

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 和久井の骨の量は、骨壺に収まりきるか心配なほど多かった。骨密度も高いのだろう、高温で焼かれたのにあまり崩れず、しっかり形が残っている。  隣の江利子が、嗚咽を漏らしはじめた。ボクは手を添えて慰めるわけにもいかず、間が抜けたように突っ立っていた。まるで、罰ゲームだ。  職員が、手際よくノド骨と頭蓋骨を選別し、選り分けていく。 “!”  また視線を感じた。気配の先を確かめるために、ボクは急いで振り返える。焼き場を仕切る柱の陰に、見覚えのある影が吸い込まれていく。  和久井?  まさかね……  ボクは心霊否定派ではない。でも、特別な霊感があるタイプでもない。  ガラス窓の向こうには、色づき始めた楓の木が見える。今度は、その太い枝が不自然に揺れた。たくさんのカラスが羽を休め、こちらをうかがうように鳴いている。  何か、気味が悪いな…… 「鎌田さん、どうぞ……」  江利子に促され、ボクは気を取り直した。大切なお骨を取り落としでもしたら、それこそ申し訳がたたない。和久井に恨まれる覚えもないし、たぶん気のせいだ……   ボクと江利子は、上腕骨の骨頭を慎重に箸で拾い上げた。
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