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どうしてこんなわけのわからない生き物を、部屋に招き入れてしまったのだろう。
永井美知は、自分の小さな手をじっと見た。
働き者の永井美知は、ひとり暮らしの部屋の中でも寝転がる習慣はない。
仕事から帰ってきても、何かと立ち働いている。
永井美知が背中に物凄い視線を感じて振り向くと、堀子龍男がこちらを凝視している。
炬燵の妖精は、文字通り炬燵と一心同体だ。
みかんの載った天板をぽんぽん叩いて、永井美知を手招きする。
逆らえないほどの圧力。
堀子龍男は、しぶしぶやってきた永井美知を、全身で包み込んだ。
今どき見かけない、赤い花柄の炬燵布団も堀子龍男の一部なのだ。
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