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「本当のことを言えば、炬燵はもう時代には合わない存在なんだがな」
堀子龍男は、真面目くさった表情のまま呟いた。
「はっきり言えばそうなんだろうけど。何もせずに炬燵に潜っている時間は、とっても心地いいよね。でも、あの時間があれば何かできたんじゃないかって思っちゃうのよ」
永井美知は、堀子龍男の上で頬杖をついた。
「美知は、この時間を後悔しているか?」
「炬燵ってね、きっとそんな凝り固まった貧乏性を吹き飛ばすためにあるんだわ。一見無駄に見えることが私たちには大事なの」
永井美知の和やかな笑顔を見て、堀子龍男は満足そうに頷いた。
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