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「だいじょうぶです。今度の戦闘は訓練でもシュミレーションでもない。実戦なんですね」
兄が苦笑していた。
「気づいたか。さすが逆島本家の次男坊というところだな」
逆島少佐が自分の家名を口にするのは、めずらしいことだった。タツオは兄の不安を感じない訳にはいかなかった。初めての実戦訓練に「須佐乃男」作戦指揮者として重大な責任を感じているのだ。大勢の将官が見学にきてもいる。軍人としての未来がかかっていた。
「だいじょうぶ。うちの菱川班に死角はないよ。新メンバーのタツオキも、性格はともかく、抜群の戦術眼のもち主だ。すくなくともほかのどのチームよりもいい結果をだせると、ぼくは信じてる。兄ち……」
危うく子どものころのように「兄ちゃん」と呼びそうになった。タツオはあわてていい直した。
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