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襲撃される謂れなどない、ただの人間だ。あるとすれば、ただ一つ………長を始めとした里の者全員が『不思議な能力』を持っていることだった。
だが。その能力は古来より、世の為・人の為に行使されてきたものだ。感謝されこそすれ、何故?
「わ、わかりません!で、ですが侵入した者達は『言霊遣いを殺せ』と叫んでおりました。」
若者はそう言った。見ればあちこちに傷を負っている。若者の言葉に里人の一人が驚愕に目を見開きながら、激昂したように若者に詰め寄る。
「馬鹿な!それは『皆殺しにしろ』と言うことだぞっ?警備の者達は何をしていた?!」
「っそ、それが全員………殺されましたっ!」
若者の涙ながらの訴えに、広間に集まった里人達は驚きを隠せない。だって、普通に考えれば、そんなことは『あり得ない』のだ。
「何だって?奴等は里の中でも、選りすぐりの精鋭なのだぞ。それが唯人に敵わなかったと言うのか?!」
言霊遣いの精鋭。そうならば、何の能力も持たぬ、ただの人間に敵わぬわけがない。
「襲撃者達を煽動しているのは、あの『御神薙様』ですっ!」
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