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故に、孤独を辛いとは思わない。老白狐の社を出る頃は、既に童子ではなかったのだから。
人間とも動物とも妖とも………。関わらず生きてきた。関わらずとも生きてゆけたし、関わる必要もなかった。
この庵の更に奥の森には、熊や狼と言った、獰猛と言える類いの種族も生息している。
よくあることではないが、この庵の近くに出没することもある。とは言え、ロウが妖故、野生の本能でわかるのだろう。己らが束になっても敵わぬほどの強さを持つロウに襲い掛かってくることはなかった。
まぁ、襲い掛かって来られても、難なく返り討ちに出来ただろうが………。
そこで、ふと。この童が心配になった。滅多に出没せぬとは言え、人間の………しかも幼子ともなれば、獰猛な獣どもにとっては、それこそ喉から手が出るほどに欲しい、またとない馳走とも言える。
-野生の肉食獣は『血の匂い』に敏感だ-
例え、放っておいてもすぐに治るような傷でも、長々と放置すれば、要らぬ面倒事が起きぬとも限らない。
元より、onore自身が原因でもない厄介事に煩わされるのは、真っ平御免だ。
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