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3.
「笹原浩平31歳。ふうん、桃花の同期ってやつね。」
コレッタは書類を見ながら話す。「書類、触れるんですね。」と話すと「触ろうと思えば触れるし、触らないと思えば触らないのよ~。」とウインクをしてからまた書類に目を通した。人外とは言え会社の個人情報がこうも容易く漏えいしてしまうこの会社のセキュリティは大丈夫だろうか、と桃花は内心考えた。
「ねえねえ試しに付き合っちゃったらどう?脈ありそうじゃん??」
「そ、そんなの無理です…。」
桃花は、自分の左右の指を絡めて目線を伏した。それから、「笹原さんは会社のバスケチーム入っててエースで、凄いモテるし、仕事もできるし…。」と笹原についてぽつりぽつりと話し始める。笹原のことを話す桃花の様子は、おおよそただの同期の話をしているようには見えなかった。少なくとも、コレッタはその桃花の姿を見て、少なからず桃花が笹原に気があるように見えたのだ。
「だ、だから、私みたいなドルオタの喪女が、あんなパリピに相手にされるわけもない、です…。」
「そ~れ~は~。」
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