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「おはよう。起きたら隣に君がいるって、幸せな朝だね。」 「おはようヒデユキ…。」 奇妙な目覚まし時計のボタンを押して目覚める。カーテンの隙間から零れる光が眩しくて目をしかめる。否、光だけが原因ではない。目の前にふよふよと浮いている、自称死神の女が、原因の大半を占めているに違いなかった。 「おはよう桃花。」 コレッタと名乗った死神は、奇妙な目覚まし時計と桃花を交互に見ると、苦笑いしながらそう挨拶をした。桃花は一度動作を止め、昨日の事を振り返った。(そうだ、何故か死神が居座り始めたんだ…。)溜息を吐いて立ち上がると、階下の洗面所へ向かう。顔を洗い歯を磨く。キッチンで母親が作ったトーストを食べる。変わらない日常だ。ただ、隣に死神がいるという事を除いて。 コレッタは桃花の周りを浮いている。母親はやはりコレッタには気付かないようで、鼻歌を歌いながらコーヒーを飲んでいた。桃花は、朝食を食べ終わると自室へ向かった。クローゼットの中にある手前の洋服を取り出す。隣にある引き出しから下着を取り出す。コレッタは「ださ。」とわざと聞こえなさそうで聞こえそうな声でそう吐いた。睨むと、わざとらしく口笛を吹いてみせた。     
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