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いつも同じ場所、同じ時刻に目覚める男が、旅客機に仕掛けられた爆弾の爆発を防ぐために奮闘する。
1度目。
男は、屋外階段の踊り場で目覚める。腕時計は20時をさす。
空港へ急ぐ。途中でクルマを盗んだり、人をはねのけたり無茶をする。
「あの旅客機には爆弾が仕掛けられている!」
叫んでも信じてもらえず拘留される。
と、21時、旅客機は爆発する。
2度目、3度目、4度目と挑戦。
素早く時間短縮に努め、爆弾に近づこうとするが失敗。
身体には警官と争った傷と疲労が重なる。機は3度とも爆発する。
5度目。
常識的な行動を捨てることを決意。
他人のパスポートなどを盗んだりして機に乗り込み、トイレの天井裏で爆弾を発見。
「あなた、ここで何してるの?」
偶然、元恋人が乗り合わせていたため隙を突かれ、警官と格闘の末に拘留されて機外へ。機はやはり爆発する。
6度目。
同様に機に乗り込み、怪しい人物=犯人を発見。
が、元恋人を人質に取られ刺されてしまう。
男も犯人に刺され機を追い出される。
「俺がこれからやることを信じてくれ!」
「わかったわ、信じてる…」
機は爆発する。
7度目。
傷の痛み、元恋人との思いに苛まれ、ヤケになり、行動に出られず、機は遠い空で爆発。
8度目。
元恋人との思い出の写真を胸に意を決し、再び空港へ。
流血しながら、警官の拳銃を奪って一気に機内に乗り込む。
男を見かけた元恋人に声をかけられる。
「俺のやることを信じて。また会いたいよ」
「私もまた会いたい」
男は犯人に拳銃を突きつけ人質にし、爆弾を取り外させ、乗客全員を降ろさせることに成功する。
そして始まる犯人との格闘…。
…いつもの場所で目覚める。瀕死の状態で動けない。
いつもの爆発の時間では、遠くの空で旅客機が飛ぶ。爆発はしない。うまくいったのだ。
機内では、元恋人が新しいカレへ、早く会いたいとメールしている。
が、男は階段で息を引き取る。
自己犠牲の上、多くの人命を救った、その顔は笑顔だった…。
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