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消えた赤鬼
雲一つ無い青空と何処までも続く青い海。
波打ち際の10メートルはありそうな大きな岩の上に筋肉の鎧を着たかの様な真っ赤な背中が一つ。
「ふぁ~あ~。釣れんのぉ~。」
大きな欠伸と大きな独り言。どうやら釣りをしている様である。
そんな男の背後に先程までは無かった人影が現れる、現れたのは長い銀髪で高価な服装をした長身の男、銀髪の男は無言のまま静かに腰にぶら下げた剣を引抜き振りかぶる。そして、うたた寝気分の赤い背中に一気に振り下ろす。
だが、赤い男は物凄いスピードで動きだし、振り返り様に右の裏拳で剣の軌道を反らし、その勢いのまま左拳で銀髪の顔目掛けて殴りかかる。しかし赤い拳は相手に当たる事なく寸前で止まり目を見開いて固まっている。
銀髪の男も同じように一瞬目を見開いて固まっていたが、直ぐに我にかえり口を開く。
「相変わらず実力は健在の様だな、我が親友。鬼のゼッキよ。」
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