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ギリギリで横に転がりナイフを回避したフェンは、うつ伏せの状態から手の力のみで飛び起きる。
しかし、飛び起きた途端ナイフが迫る。
前方から二本、真上から一本、右側から一本と、同時に四本のナイフがフェンに襲い掛かる。
「チッ…」
フェンは小さく舌打ちをすると慌てて防御魔法を展開する。ドーム状に出現した結界が、間一髪でナイフを受け止める。
弾かれたナイフは切っ先をフェンに向けて、再び空中で停止する。
「あぁー!だりぃうぜぇ!」
結界の中でフェンは悪態つくと、着ているシャツの首元から右手を入れる。
ミリーは、怪訝そうな表情でフェンの行動を見つめる。
フェンが手を出すと、その手に握られているのはネックレス。
直径五センチ程のリングに、それより二回り程小さいリングが二つ付いただけの簡素な物である。
「おめぇも天狗もめんどくせぇ…」
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