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昔話に花が咲き一時間程語り合った頃、デュラは悲しげな目をしてゼッキに問いかける。
「もう、鬼の里には戻らないのか?」
それを聞いたゼッキは顔を強張らせて少しの間を空けてから口を開く。
「里にはわしの居る場所などないのじゃ………わしみたいな奴は独りで生きた方がいい。」
想い出したくもない辛い記憶を呼び起こされゼッキの瞳は悲しみの色に染まる。
「ゼッキ。ちゃんと話を聞いてくれ。。里の皆はお前のこ「もうよい!頼むから辞めてくれ!」
デュラの言葉を遮り怒鳴る様に言った後で自分の感情を抑えきれていないと思ったゼッキは慌ててデュラに謝罪する。
「悪かったのぉ、でかい声だして。すまんがその話はまだ出来ん。もう少し時間をくれぃ」
海面を見つめながら呟く様に言ったゼッキと悲しそうな顔を続けるデュラ。
二人の間に暫く沈黙が続く。
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