8話

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 兄貴が腰を振る。悲鳴が出そうになる。とりあえず、痛い。もうなんでもいいから終わってくれ、とやけになって腰を動かした。兄貴が吠えて、入っていたものが勢いよく飛び出した。抜けた瞬間、精液を飛び散らせ、俺の下半身に降り注ぐ。  助かった。終わった。早漏の神様ありがとう。 「何ぶつぶつ言ってんだよ。これ、どうしてくれんだよ」  兄貴が息を荒げて言った。 「中に出してやろうと思ったのに」 「……マジかよ。イジメかよ」 「お前が勝手に動くから……、俺が早いみたいじゃん」  上気した頬で恨みがましい視線を寄越す。早いみたい、じゃなくて早いんだけど、とは言えなかった。 「ヒデ、痛かった?」  動かない俺を心配しているのか、急に真顔になって訊いた。 「痛めつけるのが目的なんだろ。大成功だな」  上半身を起こしてティッシュの箱を手繰り寄せた。精液を拭き取ると、ティッシュを丸めて兄貴に投げつけた。呆けていた兄貴の顔面に当たり、虚しく落下する。 「痛かった?」  上目遣いでしつこく訊ねてくる。 「痛くないとでも?」 「ちょっとはよかっただろ?」 「あのな……」  自分が気持ちいいことに一生懸命で、俺が感じていたかとか、勃っていたかとか、イッたかとか、気にも留めなかったのだろう。ただ、兄貴は俺を犯したかったわけだし、気に留めないのが悪いとは思わない。強姦としては合格だ。 「ごめんな」  兄貴が謝った。俺はつい、吹き出した。 「元はと言えば俺が悪いって覚えてる?」     
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