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兄貴が腰を振る。悲鳴が出そうになる。とりあえず、痛い。もうなんでもいいから終わってくれ、とやけになって腰を動かした。兄貴が吠えて、入っていたものが勢いよく飛び出した。抜けた瞬間、精液を飛び散らせ、俺の下半身に降り注ぐ。
助かった。終わった。早漏の神様ありがとう。
「何ぶつぶつ言ってんだよ。これ、どうしてくれんだよ」
兄貴が息を荒げて言った。
「中に出してやろうと思ったのに」
「……マジかよ。イジメかよ」
「お前が勝手に動くから……、俺が早いみたいじゃん」
上気した頬で恨みがましい視線を寄越す。早いみたい、じゃなくて早いんだけど、とは言えなかった。
「ヒデ、痛かった?」
動かない俺を心配しているのか、急に真顔になって訊いた。
「痛めつけるのが目的なんだろ。大成功だな」
上半身を起こしてティッシュの箱を手繰り寄せた。精液を拭き取ると、ティッシュを丸めて兄貴に投げつけた。呆けていた兄貴の顔面に当たり、虚しく落下する。
「痛かった?」
上目遣いでしつこく訊ねてくる。
「痛くないとでも?」
「ちょっとはよかっただろ?」
「あのな……」
自分が気持ちいいことに一生懸命で、俺が感じていたかとか、勃っていたかとか、イッたかとか、気にも留めなかったのだろう。ただ、兄貴は俺を犯したかったわけだし、気に留めないのが悪いとは思わない。強姦としては合格だ。
「ごめんな」
兄貴が謝った。俺はつい、吹き出した。
「元はと言えば俺が悪いって覚えてる?」
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