10話

11/12
前へ
/126ページ
次へ
「別に、もういい。あー、尻の感覚がない。シャワーしたいのに動きたくない。疲れた。眠い。死ぬ」  全裸で布団にくるまり、「おやすみ」と言い置いた。 「ヒデ、俺、もう二度とあいつとヤらないから。俺のために、ごめんな」  布団の向こう側で、兄貴のしおらしい声がそう言ったが、俺はもう半ば眠りに落ちていて、あいつ以外の誰とも、二度とヤるなと釘をさすこともできなかった。  言ったところで。というやつだ。  兄貴の鼻をすする音。まどろみながら、兄貴は本当にアホだな、と愛しく思うのだ。
/126ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1502人が本棚に入れています
本棚に追加