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息を止めて目を閉じた。かすかに聞こえる息遣い。切なげに漏れる声。
「あ、は……っ、あ、ヒデ……」
無言でドアを開け放った。びっくりした顔の兄貴が俺を見る。下半身を丸出しにして大股を開いた兄貴。両手が股間に添えられていた。
「て、てめぇ……、ノックくらいしやがれ!」
兄貴が顔を真っ赤にして怒った。
「兄貴こそ、ノックなんてしたことないくせに」
足でドアを閉めて、すたすたとベッドに歩み寄る。兄貴は慌てて枕で股間を隠し、ベッドの隅に後ずさる。
「なんだよ、出てけよ」
「出てっていいの。俺が必要なんだろ」
兄貴の顔が、これ以上ないくらい赤く染まる。
「お前、聞いて……」
「俺に抱かれたい?」
「馬鹿にすんなよ」
精一杯怖い顔をしているつもりらしい。虚勢を張る兄貴が睨んでくる。ベッドに片膝をついた。
「ついさっき、俺も兄貴をオカズにして抜いた」
兄貴はびっくりした顔で「お」と言ったまま固まった。
「夢、見たんだ。兄貴が俺の上にまたがってる夢。一日中忘れられなくて、ついやっちまった」
「勝手にそんな夢、見るんじゃねえよ!」
赤い顔のまま大声で喚くと、枕を投げてきた。枕を避けて、訊いた。
「どう思う?」
「何が」
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