4話

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 中に進んだ。思ったより進みやすい。上から突き刺すようにして、腰を落とした。俺の息子が兄貴の中に埋まっていく。見ているだけで達してしまいそうだ。 「いた、痛い、馬鹿、ヒデ……っ、奥、挿れるな!」  兄貴が涙目で怒鳴り散らす。従うどころか腰を上下させながら奥に進んだ。かすれた悲鳴を上げながら、体を強張らせる兄貴。痛みだけじゃない。快感も確かにある。下半身を見ればそれがわかった。ガマン汁を飛ばし、俺を咥えている部分をキュウキュウと強烈に締めつけ続けている。 「抜けよ、……っもぉ」  兄貴が腕で顔を隠して声を震わせた。 「でも、良くない? これ、兄貴俺のこと誘い込んでるって、絶対。すげえ、もう、食い千切られそう」  先のほうをゆっくり出し入れした。動くたびに、気持ちよくて声が出る。兄貴は無言で耐えていた。が、やがて我慢の限界がきた。 「あ、ああっ、んあ、いい、ヒデ、ヒデ……っ!」  とてつもなく卑猥な喘ぎと同時に、名前を呼ばれた。俺は一瞬腰の動きを止めた。紅潮した兄貴の頬。半開きの唇は濡れていて、乱れた息が絶え間なく漏れている。この唇が俺の名前を呼んだ。 「兄貴」  妙な感動があった。胸が熱い。今になって、組み敷いている相手に対する感情を理解した。俺は兄貴が、愛しい。     
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