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貴文の甘ったるい声が聞こえる。首筋がぞくっとした。貴文の望み通り、キスをしてやったのだろう。チュッと吸いつく音がした。
「俺シャワーしてくる」
「うん、あとで僕にも使わせてね」
ガタガタと、戸が開く音。再びガタガタと閉まる音。俺はコントローラーを握り、自分の股間を見下ろしていた。なんてことだ。どうすればいいんだ、これ。今すぐ手で抜いてしまいたかったが、二人の行為を見てこうなったなんて思われると癪だ。勇ましくテントを張った股間を忌々しげに見下ろしていると、「ヒデちゃん」と貴文の声が聞こえた。それが妙に近くから聞こえたもんだから、俺は無様に悲鳴を上げてコントローラーを放り投げた。四つん這いになって、一糸纏わぬ姿でぶらぶらさせている。人の家でそんな格好で、恥ずかしいと思わないのか。
「感じちゃった?」
俺の股間を見つめて貴文が言った。カアーッと顔が熱くなる。見ていたことくらい、とっくにわかっていただろう。そりゃ、耳も目も正常に機能した健全な男子なら、絶対に見てしまうし、女みたいに喘がれれば勃起もする。当然だ。
「俺は悪くない」
何故かそんな言い訳をしていた。貴文はクス、と目を細めて笑うと、俺の股間を握ってきた。あまりのことに、声を失う。
「ミッチーよりおっきいんだ」
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