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布越しに擦られて出してしまいそうになる。慌てて貴文の手を掴んだ。
「やめろよ、こんなこと! お前、お前も兄貴も、変だ! この、変態野郎!」
拳を貴文の顔面に叩きつけようとした。頼りない顔をしたこいつが、鼻血を出してぶっ倒れるところを想像したのに、何故か腕を取られ、逆に押さえつけられていた。
「いて、いてててて、イテェよ、離せ!」
「ごめんね、条件反射でつい……」
貴文が笑って俺を解放した。肩が外れるかと思った。ずりずりと畳の上を後退する俺を、貴文が笑って見ている。
「僕のうち、合気道の道場やってるから」
「聞いてねえし!」
「あ、萎えちゃったね」
俺の股間を指差して言った。当たり前だ。殴ってすっきりするはずが、何故か技を決められた。
「でも、やりたくない?」
俺は貴文を無視して、ゲームを再開する。
「ヒデちゃんて彼女いるの?」
「うるせえな、あんたに関係ねえよ」
「関係あるよ。気になるんだもん」
ドキッとした。思わず振り向いてから、しまった、と思った。貴文が股を開いて俺を上目遣いで見ている。
「ここに、入れてみない? 気持ちいいよ」
「だ、誰が! 早く服着ろ、変態!」
目を覆いたい。こんな男がこの世に存在したなんて。神はいないのか。
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