4話

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4話

 夜になった。コンビニで仕入れたヒレカツ弁当を食べながら、一階の茶の間でテレビを眺めていた。NHKの真面目そうなアナウンサーが淡々と喋っている。  兄貴は外で食事を済ませたらしく、帰ってからずっと自室に閉じこもっている。元々積極的に会話をする兄弟じゃなかった。だからこういう状態は慣れている。特に喧嘩をしているという険悪なムードでもない。  ただ、ぎこちない空気が家中に漂っていた。  今朝見た夢と、昼間の出来事を交互に思い浮かべた。  俺の腹の上で跳ねていた兄貴。腕を舐めたときに上げた、エロ臭い声。都合よく混同させ、一人で悶々とした。  気づいたら股間をしごいていた。  我に返っても、手を止めなかった。 「兄貴……っ」  小さく吼えて、果てた。息を荒げ、手のひらを見た。へばりついた精液。後悔は、なかった。不思議な話だが、清々しかった。  ティッシュで拭って立ち上がる。茶の間を出て、足音を殺して二階に上がった。  兄貴の部屋の前で、立ち止まる。ドアにそっと耳を当てた。確かにいる。気配がするし、布が擦れる音も聞こえる。  ギシ、とベッドが軋む音。ギ、ギ、とスプリングが小刻みに震えている。     
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