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あらすじ
目覚めるとそこは屋外階段の踊り場だった。
いつの間にか眠っていた渚は寝ぼけ眼で時間を確認すると、急いでカメラを空に向かって構える。
青い空に白い機体が横切っていくのに対して何度もシャッターを切る。
余韻に浸りながら撮った写真を見ていると、人影のようなものが向かいのビルに写っている。
どうにも気になり、立ち入り禁止である筈のその屋上へ訪れると扉の向こうから言い争うような声が聞こえた。
悩みながらも扉を開けると、そこには白いワンピースと黒髪が印象的な一人の少女が居た。
それが渚と千鶴達の出逢いだった。
始めの内は話すことも、目を合わせることも無くただ帰っていくだけ。
それでも彼女も渚も此処へ来た。
ある日、彼女が柵の向こう側に立っているのを見つける。
何とか安全な場所まで連れていき、事情を聞くとどうやら此処へは死のうと思って来ているらしい。
...でも、いつも死ねないで帰っていくのだと。
少しずつ彼女と話をしていく内に彼女の中にもう一人の「紡実」という人格が居ることを知る。
渚は不思議とその事をすんなり受け入れられた。
彼が障害者というレッテルを貼られた、他とは違う人間だからかも知れない。
それもあってか次第に千鶴は渚に心を許していく様子を見せ始めた。
何度も会う内に千鶴とは話を出来る関係になり、笑い合える関係になり、信頼できる位の仲になった。
...そう思っていたんだ。
ある事がきっかけで今まで出て来なかった紡実が渚の前に現れる。
紡実は渚の事が嫌いで信用もしていない。
だから千鶴とは二度と会わないように言って来た。
納得のいかない渚は紡実から、千鶴からは聞いた事の無い信じがたい事実を知らされることとなる。
それが彼女の死にたい理由だとも思わずに...。
こうしてたった一枚の写真と立ち入り禁止の屋上が三人の人生を変えることとなった。
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