こたつの神さま

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「起きろ、時間だぞ」 聞きなれた声に目を覚ます。 リビングのレースのカーテンから夕陽が差している。 ここは、ワンルームのアパートじゃなくて、十年前に買ったマンション。 わたしは十年前、おばあちゃんの家にあったこたつを気に入った男と結婚した。 まさかのこたつがキューピッド。 「…あんたが初めて喋った日の夢をみたわ」 「それはそれは。あの頃はお前も若かった」 「あんたそろそろイケメンにならないの」 「いい加減諦めろ」 こたつの中に入れた湯たんぽが冷めている。 それを引っ張り出すと、新しくお湯を入れるためにキッチンに立った。 もうすぐ帰ってくる家族が、温かいこたつに足を入れられるように。
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