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そんな矢先だった。どうしてもこたつから出なくてはならない事に俺は気づいてしまった。絶対に避けたかった事態だ。
食事だって、トイレだって、ここで済ませてきたのに。俺の今までの頑張りは何だったんだ。悔しさのあまり目尻に涙がにじむ。
だが、こればかりはやむを得ない。本質に関わる問題だ。どうあがいても、あそこまでは行かなくてはならない。避けようのない事実だった。
思い切ってこたつから出る。半身をもぎとられたように、心が痛んだ。
「すまない。すまない……」
何故か謝罪の言葉が口をついた。こたつとの永遠の絆が断ち切られてしまったような気がしたのだ。俺は名残を惜しみながらこたつを後にした。
俺は己のうかつさを嘆いた。もっと早くに気づくべきだった。そもそもの初めから、俺はこたつの本質を見誤っていたのだ。
「くそっ」
そしてしぶしぶ歩いていき、こたつのコンセントを差し込んだ。
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