こたつの本質

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 寒い。  寒すぎる。  末端から体が徐々に凍っていくかのように思われた。それはガラスにひびが入るようにじわじわと広がり、そして体の芯まで凍ったとき、俺は、ぱりん、と音を立てて割れるのだ。  異常気象だか何だか知らないが、あまりにも寒い。何のつもりだ? ふざけるな。正体のわからない何かを罵りながら、俺はこたつの中で震えていた。  昨日の夜はこたつで寝た。当然だ。この寒さでは、とてもこたつから出られない。今日も朝からずっとここで過ごしている。あまりにも長くこうしているため、もう時間の感覚がなくなってきた。  腹が減ったらこたつの上にあったポテトチップスで満たし、のどの渇きはみかんで潤した。会社は休んだ。もちろんこたつから出たくないからだ。  廃人と呼ばれてもかまわない。もう、こたつから出ない。俺はそう誓った。
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