僕のお年玉

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 お正月におじいちゃんの家に来ると、その時にだけ会う親戚のみんながお年玉をくれる。 「はい、健ちゃん。お年玉」 「ありがとう!!」  お年玉の袋を受け取るときは一瞬テンションが上がる。  だけど…。 「じゃあ、これはしまっておくね」  そう言って、すぐにお母さんが僕のお年玉をバッグの中にしまってしまう。  僕の手には残らない。 「貯金しておいてあげるから」  なんて言うけれど、今まで貯金したお年玉を後でもらったことは一度もない。  お年玉はいつも、僕の目の前を通り過ぎていく。  おじいちゃん、おばあちゃんがおもちゃを買ってくれたりはするけれど、僕は自分の手でお年玉を使いたいんだ。
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