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「俺らは高校まで腐れ縁。そのあと、俺は大学行って、ブテンは親父さんの仕事を継いで」 「ああ、不動産屋だっけ?」 まったく思いがけずフェイスブックでつながったため、互いの状況はその書き込みで知ってはいる。 「じゃあ、ずっと地元か?」 「うん、そう」 「こいつ、商売なんて向いてるイメージなかったんだけどな、結構やり手らしいぜ」 「へえ、そうなのか」 確かに塚本は口数も多くなく、おとなしい性格だった印象がある。 「最初は親父にどやされてばっかだったよ」 塚本は首をすくめて、思い出すのも嫌だ、というふうに厚い唇を曲げた。 「高卒でオリエンなしのOJTは厳しいよな」 森はうんうん、とうなずいている。 「森は、花菱(はなびし)商事だっけ? すごいな」 「まーすごいっていうか、デカい会社ならではの悩みっての? 前の上司がレジェンド級の仕事の鬼でさ、タイトなスケジュール組むんでバッファなさすぎて、月の残業200時間とかあったからな。過労死しちまうっての」 「200時間かあ、そりゃ大変だな」 「もー毎晩タクシーでさ、残業代はエライ振り込まれるけど、使ってる暇がないっていう。しょうがないからマンション買ったわ。タワマンてやつ? 最近臨海地区にできた」 「へえ、大したもんだな」 「ハカセは? 今どこ住んでんの?」 「だから、ハカセはやめてくれって」 「でも大学の先生なんだろ?」
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