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「じゃあ、レモンサワー追加で」
「芋焼酎」
「了解」
若い店員がきて、注文を聞きがてら空いた皿やグラスを片づける。
「なかなかうまいね、ここの料理。地元にこんないいお店があったなんて盲点だったな」
森が声をかけると、「ありがとうございます。店長に伝えます」と彼は快活に答えた。
「あ、手洗いどこ?」
「はい。ここを出て、右に曲がっていただいて、通路の先にございます」
「わかった。ちょっと失礼」
森が出ていくと、塚本と2人になった。
無口な彼と一対一だと、なんとなくぎこちなくなる。
何か話題を、と思っていたところへ、塚本の方から口を開いた。
「……違うよなあ」
「え? 何が?」
「最初に真のエンディング出したの、拓哉じゃなかったと思う」
塚本の奥二重の目は、酔いが回っているせいか、どこか剣呑だった。
「じゃあ、塚本なのか? 森の勘違いで」
「いや、俺じゃない」
「ん? どういうこと?」
誰が最初に真犯人とトリックを解明するかを競って買ったはずが、誰も真相に辿りつけなかったということだろうか?
「塚本はなんで真犯人の名前を知ってるんだ? 攻略本?」
彼は首を振った。
「誰かから、聞いた」
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