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成田空港行きのバス乗り場。
バス待ちの列に並んで、僕は少しでも背が高く見えるように、背筋をぐっと伸ばす。
4年生だけど、背が高い方だから、中学生に見えなくもないはずだ。
少しでも小学生一人だということを悟られないように、チケットもお金は余分にかかるが、大人料金を払った。
もし子供一人の乗車を不審に思われ、何か聞かれるようなら、おばあちゃんを迎えに行くっていうつもりだった。
何としても、空港まで行きたい。
去年、家族で行った海外旅行の時に乗ったこのバスを使えば、成田空港へ行けることは知っていた。
後は、小学生の僕が一人で乗り込んで、止められたり、家族に連絡がいったりということを避けなくてはいけない。
何もなければ、僕には、2時間の時間がある。
両親に、一人でおばあちゃんの家から帰ってみたいと頼み込み、一日遅れで一人電車で帰ることにしてもらった。
おばあちゃんちの最寄り駅から、両親が迎えに来る駅まで、およそ2時間。
おばあちゃんに見送られて電車に乗ったあと、僕は次の駅で降りた。
念のため、服を着替えて、家を出た時とは違う恰好をした。
そして、僕は成田空港行きのバス乗り場まで辿り着いた。
成田空港行き、と行先が表示されたバスが、滑り込んでくる。
乗り込む人の列はそれほど長くない。
怪しまれないようにと買った大人料金のチケットを係員に見せる。
大きな荷物はあるかと聞かれただけで、僕はあっけなくバスの座席に座ることができた。
まばらに客を乗せたバスが発進し、ゆっくりと駅のロータリーを回る。
僕は、肩の力が抜けるのを感じ、そこでようやく緊張で体中に力が入っていたのだと気づいた。
窓の外を見れば、初日の出がきれいに見えた一昨日とは打って変わって、灰色の雲が空を覆っていた。
ぼくは、リュックサックのファスナーを開けて、この二日間でもらったお年玉の袋がちゃんとあるのを確かめた。
落としたりしないように、リュックの奥の方にしまい込んだ。
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