決められた結婚

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何故か今日は珍しく、早起きなんかしてしまった。 いつもなら目覚まし時計が遅刻寸前まで鳴り続けてるのに。 だからこうして出勤の時間がバラバラな両親と、リビングで一緒に朝食を食べるのは何時振りだろうか 『この玉子焼き、いくらなんでも焦げすぎじゃない?お母さんが料理失敗すんのなんて珍しいね』 舌全体に苦い味が広がるのを我慢しつつ、目の前に座る作った本人に素直な感想を言ってみる お母さんは料理が得意で、和洋中、デザートまで何でも簡単に作ってしまう でもテーブルの上に並べられたのは、原形は秋刀魚であろう焦げた魚、味の濃い味噌汁に硬い御飯、そして本来ふっくらと仕上がるはずの玉子焼きは、黄色から焦げ茶へと色を変えてしまっている 「…腹に入ればどれも同じだろう」 見慣れたスーツに少し古いデザインの眼鏡を掛けた、ザ・サラリーマンなお父さん 文句一つ言わずに新聞を読みながら、焦げ茶色の玉子焼きに箸を伸ばす。でも口に入れた途端眉間に少し皺が出来たのを見逃さなかった 『お父さんって、お母さんに弱いよね。ウチってかかあ天下なの?』 苦味に慣れた魚を頬張りながら次のおかずを視線で選んでたら お母さんの一言が、それどころではなくさせた 「紗和(さわ)、あなた来月結婚してね」
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