炬燵輪舞

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 声を落とした義父は、ワシワシとそのまま髪を混ぜる。 「って、叩くなよ!」 「ようやく眠れたみたいだから、しばらく寝かしてやれ」 「つーか、何でここにいんだよ?」  花緒が言うには、昨日の夜遅くに訪ねて来て泊めて欲しいと言われたらしかった。  布団を出してやろうとすると、炬燵で良いと言い張られてあの様だ、と花緒は苦笑する。 「風邪ひいちまうじゃねぇか……」 「まぁ、昔みたいに行き場所がないと思うよりは大分マシになったんじゃねぇの?」 「……それは、そうだけど……つか、手出してねぇだろうな?」 「抱き締めたら泣かれちゃったからなぁ、流石にねぇ」 「だっ……」 「俺が悪いのか? 悪いのは、お前じゃないのか? バカ息子」 「くっそ……」  火の点いていない煙草を咥えた花緒は、ふん、と鼻を鳴らして身を翻した。
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