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炬燵が家から無くなってダブルベッドで二人で寝る様になってから、セックスに誘われる事が少なくなったと言う事らしい。
確かに花栄は炬燵で寝るのはダメだと思って志信を起こすけど、ベッドで寝ていれば起こすのが悪いと思ってそのままにしてしまう。
仕事を終えて夜中に帰って来て風呂に入り、ベッドに入っても花栄を揺り起こす事が出来ない志信にとって、炬燵は花栄をその気にさせる便利なアイテムだったらしい。
「炬燵、買いに行くか」
「うん……行く」
「別れない?」
「別れない」
よもや炬燵如きで別れ話になろうとは。
口下手で誘い下手な恋人のささやかな我儘は、立派な家より、数百万のピアノより、高価な価値があるのだと教えてくれる。
あぁ、可愛い。何て可愛い。
こうやって下らない喧嘩を繰り返して、愛は輪舞の様に繰り返される。
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