お得すぎる福袋

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 それから一週間…………いまだにあのブツ(・・)は押し入れの奥に入ったままになっている。  さすがにあそこならば誰にも見つかる心配はないと思うが……あんな代物を隠し持っているというのは、やはり精神衛生上よくないものである。  たぶん気のせいだとは思うのだが……家の外へ出る度に、皆が俺のことを監視しているように感じてしまう。  町を歩けば行き交う通行人達が……電車に乗れば、となりで吊革を握るサラリーマンが……学校に行けば、教師やクラスメイト達が……こっそり俺の方へ冷たい視線を向け、無言で訴えかけてくるのだ。  おまえがアレ(・・)を隠し持っていると、もうとっくに知っているぞ……と。  時折、そんな人々の中に刑事やマトリ(※麻薬取締官)が混ざっているのではないかという幻覚に取り憑かれることさえある。  いや、家族ですら俺の一挙手一投足を監視し、虎視眈々とアレ(・・)の隠し場所を探ろうとしているように思う時さえ……。  また、この前、偶然、街中で見かけたのであるが――。 「――キャっ! ちょ、ちょっと何するの!? なんなのあんた達っ!?」 「うるせえ! すぐにすむからちょっと見せろ!」  例のものと同じデザインのハンドバッグを持っていた若い女性が、あの黒服達と路上で揉み合っているのを見かけた。  マヌケなあの黒服達はアニキ(・・・)の命令を馬鹿正直に実行して、今もアレ(・・)の捜索を鋭意続行中のようだ。 「あんましお得すぎる福袋ってのも困りもんだな……」  誰に言うとでもなく、俺は人知れずに小声でそう呟く。  まだ新年始まったばかりではあるが……どうやら今年一年、スリリングな年となりそうだ……。                                   (お得すぎる福袋 了)
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