お得すぎる福袋

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「そういえば、叔父さんの家から近かったっけか……」  ショックに周りを気にしていなかったが、いつの間にやら外国人居留者の多い界隈に入っていたようだ……。 「……ってか、値段の10倍だってえっ!?」  今更ながらに現在地の位置確認をした俺は、そんなことよりももっと重要なそのことを時間差で認識する。  流れ込む客達を掻き分け、店から出て来る人々の手にはシャレた大型の紙袋が下げられている。  お姉さんが叫んでいる通り福袋の販売のようであるが、彼女の言葉を信じるならば、つまり、あの袋の中には値段の10倍はする価値のブランドものが入っているということか!?  その福袋はけっこうな人気らしく、押し寄せる客達にちょっと強面の黒服を着た男性スタッフも幾人か店先に立ち、トラブルが起きないよう交通しているくらいだ。  中華系外国人のお店だし、少々疑わしくなくもないが、この列をなしてる大勢の客を見るに、まんざら嘘というわけでもないように思う。10倍はちょっと風呂敷を広げすぎでも、2、3倍…いや、5倍くらいの価値はあるかもしれない。 「あれを買って、質屋なりフリマアプリなりで転売をすれば……」  金に飢えていた俺は、すぐさまそんな皮算用をする。 「1万円! 1万円! たった1万円デ10万円の価値アルヨ~!」  店の主らしきお姉さんの声に耳を傾けると、値段は1万円……ギリギリ手持ちで買える値段だが、反面、一瞬でお年玉を使い切ってしまう金額でもある。  しかし、このまま何もしなくても、1万円ではあれよあれよと目減りして、気づけばサイフはスッカラカンになっていることだろう……。  ここは年の初めだし、運だめしにいっちょ賭けに出てみるか……。 「…………よし」  俺は決意を固めると、店先に屯する客達の列に並び、ご婦人達の強い化粧の香に酔いながらもなんとか戦利品をゲットした。
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