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「――どれどれ、どんなお宝が出てくるのかな~」
そして、家に帰ると早速、袋を開け、苦労して手に入れたブツの中身を確認する。
「ヒュ~! こいつは大当たりだぜ!」
中から出て来たのは、某幾何学模様の散りばめられたブランドのハンドバッグや、「C」が二つ重なったようなマークのサイフ、やはり某高級イタリアブランドのスカーフなどなど、どれも一目でお高価い品だとわかるものばかりだった。
これならば、フリマアプリで売っても軽く1万円以上は稼げるだろう。どうやら俺の賭けは間違っていなかったようだ。
「…………いや、でも待てよ?」
だが、明らかに買った値段以上の価値はあると思われる品物を前にして、俺はふと、ある疑念に捉われる。
福袋だからって、こんなうまい話がそうあるもんだろうか? いくらなんでも、これほどのサービスをしていては商売成り立たない気がする。なにやらちょっと胡散臭そうな外国人経営のお店だったし、これはやっぱり、全部真っ赤なパチもんだとか……。
そうした疑惑に取り憑かれた俺は、スマホ片手にホンモノとニセモノを見分けるためのポイントをネットで検索しつつ、先ずは一番大きなハンドバッグから粗探しをし始めた。
とりあえず生地やプリントをネット映像の本物と見比べ、縫い目なども細かく眺めてゆく……。
「うーん…今んとこ、これっていう証拠はないようだけど……んん?」
ところが、意外や確実にニセモノと判断できるようなものは何も見当たらず、もしや、正真正銘、ホンモノの高級ブランド品なのではないか? と再び思い直し始めながら中を弄っていたその時。
俺は、そのバッグの底が二重になっていることに気づいた。
底に一枚、周囲と同じ革を張った板のようなものが敷いてあるのだが、なんだか妙に厚く、ただの底敷きのようにも思えない。
「ブランド品ってみんなこんな風になってんのか? よっと……なっ!?」
不審に思い、隙間に指を突っ込んで持ち上げてみた俺は、その裏にある本当の底の上に、ニセモノかホンモノかなどもうどうでもよくなるような、そんな些末な問題など遥かに凌駕するものスゴく不穏なものを見つけた。
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