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私と百瀬くんは、荻窪の知り合いの飲み会で出会った。
柊は初めて会った時、黒ずくめの服に銀のアクセサリーをつけていて、高そうな革靴を履いていた。
飲み会の会話には参加もせず、背もたれにかかりながらスマホをいじっていた。
(感じ悪…。)
「百瀬は大学でフランス語専攻してるんだから、舞田ちゃんと同じじゃね?舞田ちゃんも外国語学科でフランス語じゃん。」
「え、そうなの?」
と言われて顔を上げると、
ぱち。
目があった。
グレーがかった、綺麗な瞳。
「え、もしかしてハーフ?」
「ああ、そう。フランスと日本のハーフ。けどフランス語できないから専攻してるんだ。舞田さんはどうしてフランス語?」
「え、私はただ興味本位で…。」
「そうなんだ。」
と言って微笑んでいた。
顔を上げて見ると、さっきのスマホをいじっていた時の印象とは全然違ってなんだかいい人かな、とか思ってしまった。
もしかして、人見知りなだけなのかもしれない。
そう思うと、違和感のあった服もアクセサリーも、フランスの血が混じった彼の体型には似合っているような気がした。
なんか、私って単純かな。
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