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息が触れそうな距離で、次会う約束をしてしまった。
飲んで酔っ払って、帰りの電車でカフェ巡り友達ができた。
しかも、イケメン。
何から何まで突然すぎて、低スペックな私の頭では急な展開についていけない。
「袖、掴んでていいよ。」
「え、」
「酔ってるんでしょ。」
百瀬くんが、黒いシャツの袖を差し出してくれた。
「あ、ありがとう。」
「駅まで、もう少しだね。」
百瀬くんの服。
触れそうな息。
厚い胸板。
気まづくて、恥ずかしい。
けど、なんか嬉しい。
ドキドキする。
そっと触れ合う二人の体とこころの距離は、これからどうなっていくんだろう。
私たちは視線を逸らしたまま中央線のぎゅうぎゅうの電車に押されながら揺られていた。
もうすぐ、新宿。
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