1人が本棚に入れています
本棚に追加
/51ページ
そう言うと、華代は不安そうに兄・雪矢を見上げた。
「ははは。本当に君は臆病だね。華代。呪いなんてこの世に存在するはずないじゃないか。呪いや運命なんて、後ろ向きな人間の考える檻さ。今から僕がそれを証明してあげる」
雪矢はそう言うと、すたすたとベットサイドに立った。
「うわっ……。すごい埃だな。今の僕にとっては、呪いよりこの埃と黴臭さの方が怖いな。せめて、シーツくらいは変えないと……」
「お兄様。はい。シーツ」
「ありがとう。ん?この絵はなんだろう……?随分古いものみたいだけど……。綺麗な女の人だな」
「えっ?」
シーツを変えるのを手伝っていた華代は、兄の声に顔を上げた。
「ほら。この絵だよ」
兄の差す方向には、大きな絵がかけられていた。
その絵は日本髪を粋に結い上げた若い女性の絵だった。その絵の女性は、鮮やかな深い緑の着物を着て、艶やかに笑っていた。
「う~ん。一体、誰だろうねぇ……。ああ……。どことなく、君に似ているよ。華代」
「えっ……?」
慌てて華代がその絵の女性をじっくりと見ると、確かにどことなく自分に似ている気がする。
「まさか……この人が小夜なのかな……?」
「えっ」
「ははは。そんなに怯えることないじゃないか。僕らのご先祖様だよ?」
最初のコメントを投稿しよう!