第三夜 ライバル対決!!

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そう言うと、雪矢は無邪気にパンにぱくついた。 華代はそんな兄を横目で見ながら、そっとドアを閉めた。 それが兄妹の今生の別れになるとも知らずに……。 * 「なるほど。で、翌朝その『開かずの間』を訪ねたら、雪矢さんが亡くなっていたと……」 華代はもう言葉にならないという風に、ハンカチで目頭を押さえると、うんうんと頷いた。 「で……お聞きしたいんですが……。先ほどあなたは言いましたよね。『部屋の様子の何かが気になる』と」 「あ……はい……」 「その正体については……思い出しましたかしら?」 華代はしばらく考え込んでいる風だったが、突然はっと顔を上げた。 「絵ですわ!」 「えっ?」 別にこの反応は……洒落ではないと思う……と信じたい……。 「絵が……どうかされましたか?」 「あの……自信はないんですが……絵の特に女性の着物の色が……前日と翌日では……少し違っていたような気がするんです」 「ほお……。具体的には?」 「ええ……。あのなんて言いますか……色の深みですか?それがなんだか違うような気がしたんです。私、これでも絵を描きますので……色とかにはあの……少しは敏感なつもりで……。でも……光の加減っていうこともありますから……」 「うむ……。絵の着物の色ねぇ……」     
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