お年玉

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 僕の名前は田中太郎、今を生きる小学3年生だ。  今日、僕は学校の友達から“お年玉”というものの存在を教えてもらった。詳細までは答えてくれなかったが、なんでもそのお年玉というものがあれば、どんなものでも手に入るというのだ。実に興味深い!   一度この目でお年玉というものを拝んでみたいと思った僕は、母上にそれについて尋ねてみることにした。 「母上、お年玉という玉をご存知ですか?」  「まあ!」と母上が大声を挙げる。その顔は、明らかに色をなしていたので、僕はおののいてしまった。 「どこでそんなはしたない言葉をおぼえたんですか!? 太郎ちゃん!」 「友人から耳にしたのです。何でも手に入るとかなんとかで……」 「とんでもない!アレは破滅よ、家庭崩壊そのものだわ!!」と母上。 「ねえ、お父さんも太郎ちゃんに言ってあげて」  母上がリビングでテレビを見る父上に話を振った。  父上は風呂上がりのためか、縦縞模様のトランクスに白シャツのみの服装で、赤いソファーに寝そべっている。そのだらしない恰好は、我が父ながら恥ずかしいばかりである。父上は半ば生返事のような声音で返答した。 「んー、まぁ太郎も年ごろだし、欲しいんじゃない?」     
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