お年玉

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 その態度に、母上はさらに癇癪をおこした。 「いい加減なこと言わないでください!! 使い方を間違えればどれほど危険なことか……」 「でも俺も太郎くらいの年の頃はもらってたぜ」 「あなたと太郎ちゃんを一緒にしないでください。太郎ちゃんは育ちがいいんだから」 「なんだと! おふくろを悪く言うのか!」  ふたりは諍いに発展してしまった。これではお年玉のことを聞き出すのは無理だろう。今日のところは諦めて、明日に他の人をあたろう。  僕は激しく罵りあう二人を素通りして、自分の部屋へと戻った。そしてアラームをいつもより早めにセットし、からだより何一回りも大きなベッドで仰向けになる。だが、お年玉がどんなものなのか想像を膨らましていると、なかなか寝付けなかった。  お年玉というくらいなのだからきっと丸いのだろう。大きさは野球ボールくらいかな?いや、持っているだけでどんなものでも手に入るという玉だ。最低でもスイカくらいの大きさがあるに違いない。色はどんなのかな?あか、みどり、きいろ、ぴんく……うーん、どれもいまいちピンとしない。おそらくもっと垢ぬけた……そうだ、金色だ! お年玉はきっと金だろう! 金でしかありえない!     
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