お年玉

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 しかし、目と鼻の先に小学校が見えてきたというときに、僕は重大なことを思い出してしまった。──今は年が明けて一月の二日目。冬休みの真っただ中だ。  学校に着いたところで、きっと岡野先生はいやしないだろう。完全に無駄足を踏んでしまったというわけだ。  僕が他をあたろうと踵を返した瞬間、学校の門の方から声が聞こえてきた。──岡野先生である。岡野先生は歩いて僕の方へと近寄り、「あけましておめでとう太郎君」と、挨拶をした。 「冬休み中なのに、なんで学校にいるんですか?」と尋ねる僕。岡野先生はその疑問に対して「ちょっと用事があってね」とだけ答えた。そして先生は「そういえば」と話題を変えた。 「こんなところで何をしてたんだい?」 「あの、お年玉というものが何なのかを知りたくて……」  そういうと、岡野先生は急に険しい表情になって僕を見つめた。 「そうか、君もお年玉のことが気になる時期になったんだね」  岡野先生はふむ、と顎をさすりながら思案深そうに下を向いた。やがて先生は「よし!」と何かを決断した時の声をあげた。 「実はね、僕もそのことについて校長先生と話すために学校に来てたんだよ。お年玉については、僕よりも詳しい校長先生に聞くといいよ」     
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