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後ろからいきなり仮面を無理矢理に取られ、私は慌てて両手で顔を隠すようにした。
ふらりとよろめきながら私は両手で顔を隠し、仮面が取られた方へと視線を向ける。
「嫌ねぇ。仮面がなくちゃその醜いお顔が丸見えね」
「手で顔を隠していられるのも時間の問題ですわね」
後ろに振り返ると、クスクスと楽しそうに笑う三人の姫たちがいた。
一人の女性が仮面を手に持ち、ヒラヒラとさせている。
「か、返してください!!」
私は両手で顔を隠しながら声を上げる。
けれど女性たちは互いに顔を見合せ、又もやクスクスと楽しそうに笑う。
「あんたみたいなのがこのパーティーに参加するなんて図々しいのよっ」
「醜いならずーっとお部屋に閉じ籠っていなさいよ!」
「花嫁候補だなんて生意気ね!!」
一人ずつ文句を言いながら私へと近づき、私のドレスへと手を伸ばす。
女性たちの表情が訝しげに歪んだ。
「や、やめてくださいっ」
私は逃げようとしたが既に遅かった。
ーービリッ!
嫌な音が響く。
その瞬間であった。
次々とドレスが引き裂かれ、ボロボロになっていく。
ついには真珠の髪留めを無理矢理に引きちぎられ、地面へと叩きつけられ、真珠の髪留めは粉々になってしまった。
「貴方はそれがお似合いね」
満足したのかそう言って微笑む女性。
パキっと音がし、女性の足元を見てみると仮面が踏みつけられていた。
「さあ、戻りましょ」
満足した三人は笑いながらこの場を去っていく。
私は膝をつき、震える肩を両手で支えることも出来なかった。
仮面が割れてしまって、ドレスも引き裂かれ、私はもうパーティールームには戻れない。
視界が歪む。
涙が出そうなり、私はそれに耐えるようにした。
泣いていてはいけない。
一度、部屋に戻り新しい仮面とドレスに着替えなくては。
これ以上遅くなってしまってはシャルン様に迷惑がかかる。
私は両手で顔を隠しながら自分の部屋へと急いで戻った。
部屋へ戻り、いつも置いてある仮面の引き出しを開ける。
そこにいつも置いてある仮面はーーーなかった。
恐らく世話係の方に仮面を隠されてしまったのだろう。
私なんかがシャルン様の近くにいて、ましてやパーティーなんかに参加しているから。
どうすれば良いのか私には分からなかった。
この醜い顔を晒してしまってはーーーいけない。
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