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リィーラ様が王城からいなくなられて、私はついに追い出されたのかと思った。
シャルンに仕えている兵士たちも何処か安堵した表情を浮かべていた。
だが、城内は酷く荒れていった。
真冬並みに冷たい城内。
私はシャルンの王城へ遊びに行っていたが、その時の城内は皆が何かに怯えているようであった。
その原因はすぐに分かった。
シャルンが酷く冷たくなっていたのだ。
眼差しは真冬並みに冷たく、誰も近づくことが出来ないようであった。
シャルン専属の騎士ギルだけが、側にいることが出来ていた。
私もシャルンに近づく時は一瞬怖いと感じてしまうが、それは本当に一瞬だ。
私だと分かるといつも通りの彼になり普通に話をしたり、貴方に触れることだって出来るのだから。
だから、私は特別なのだ。
シャルンにたくさんの花嫁候補がいたとしてもーー
『アラン様をシャルン様は気にかけていると思いますよ』
前にギルが言っていたのを思い出す。
一番シャルンの近くにいる、シャルンが心を許している専属の騎士ギルがそう言うのだから、シャルンにとって私は特別な存在なのだと思っていた。
そうで有りたいと思った。
そして、リィーラ様がシャルンの王城へ戻って来たという報告が私の耳に届いた。
リィーラ様の体調がかなり優れないとのことだった。
その期間はシャルンに会うことが出来なかった。
どこにいるのか、どこで何をしているのか分からない。
もしかして、他の花嫁候補の元へ行っているのだろうか。
それともーー
リィーラ様の側にーーー
そう思うと悲しくなる。
一番近くにいるのは私なのに、と。
「大丈夫ですよ、アラン様。アラン様はシャルン様の花嫁候補として誰もが認めているのですから」
私を心配してか、私の世話係のメイドがそう言っていた。
「……そうですわね」
私は微笑むようにして、それに答える。
私が花嫁候補として誰もが認めているのは分かっている。
分かっているのだ。
その言葉は聞き飽きた。
なら、いつになったら私はシャルンと婚約できるのだろうか。
いつになったらシャルンは私を王妃として愛してくれるのだろうか。
いつになったらーー
それはいつーーーー
シャルン教えてくださいませーー
私をいつ王妃にしてくださるのかしら。
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