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第三章
『最近なんかいいことあったの? あっもしかして彼女~?』
「いや、いないけど」
そんなことを妹に言われたのは、それから一か月後のことだ。二美は俺の即答に『だと思った』と返して、つまらなそうなため息を聞かせる。対する俺の内心は、実際はバクバクして、落ち着かないのだけれど、悟らせるわけにはいかない。
(援交している男がいるなんて言えねえし)
あの運命の夜に、俺は新しく「実験契約」を結んだのだ。悪魔との契約といってもいい。
翌日に新しく制作された紙には、大体次のことが書かれていた。
一、ルイが製作したチョコは決められた時間、分量を必ず守って食べること。
二、週に二、四日ルイの必要に応じてセックスすること。
三、俺はその間、新しい仕事を積極的に受けること。
四、薬の性能が安定した暁には、その開発の権利を一切主張しないこと。またこの成分、効果、実験内容については契約が終了した後も他言しないこと。
(誰が言うかっつーの)
読んだ瞬間につい突っ込みを入れてしまったけれど、研究者であるルイにとっては大切なことなのだろう。
これらを俺が守る代わり、契約中、俺の申請する請求書は代わりにルイが払う。ありがたいような、情けないような複雑な気持ちだ。しかし実のところ、俺にその背中を押したのは性欲なのだ。三大欲求といわれているだけあって、再びあの気が狂いそうな快感の海に飛び込めるのなら、文字通り俺はなんだってするだろう。実際、悪魔と手を組むことも厭わなかったくらいだから、本能的な欲求とは恐ろしい。
契約してから数回行為に及んだけれど、その快楽は飽きることなく俺の体を喜ばせ続けた。ルイは週末の遊びと同じく、手を変え品を変え、色んな方法で俺を未知の世界に連れていってくれる。最初は抵抗があった後肛への挿入も、今ではルイを見る度にジンジンと疼くほどになった。
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