0人が本棚に入れています
本棚に追加
もちろん、戻るつもりはもうない。
あっさり渡されたのが意外だったが、まあ、元は俺の金らしいし良いだろ。
久し振りの札だ。広げてよく見よう。
……あれ、これ夏目漱石だな。随分古い札を持ち出してきたものだ。話を信じさせるためか? よく旧札なんて持ってたな。
まあ、何でも良いさ。お参りしてから美味しい物でも食べるか。
俺は目の前に見えてきて神社に向けて歩き始めた。
早く初詣を終わらせよう。
小学校の頃、お年玉抱えて神社に初詣に行ったなぁ。あの頃の方がよっぽどお金持ちだった。情けない話だ。
そう言えばそこで妙な物を買ったような気がする。あれは何だったか、つるっとした柔らかい光沢の……。そう言えばどこへやったっけな。まあ、一人暮らしを始めるときに、自分の物はすべて移動させたはずだから……。
どこかで消防車のサイレンが聞こえる。
新年早々火事とはご苦労様な事だ。
ん、何考えてたっけ。
まあ、大したことじゃないだろうし別に良いか。
最初のコメントを投稿しよう!