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さっきいたのと同じ場所に出たりなどと、ゴタゴタしている間に、俺は住宅街をやっとの事で抜け出て、よく知っている川土手にたどり着いた。荒川と言う。名前に反して、穏やかな流れである。川幅拡張工事の賜物だという話だ。 ともかく助かった。 俺は、乳酸の溜まったふくらはぎを叩き、そこに沿って河井まで戻ってきたのだった。 「許さん。絶対に、この仕返しは果たしてやる………」 布団の中で怒りに打ち震えながら俺は、はっきりと誓った。 それから3日後の、水曜日。 俺は子分三人を引き連れて、ある所へ連れていった。 「郊外?流石に遠いんじゃ…」と渋る一人を睨み、お前達三人という数がちょうどいいんだ。絶対に欠けちゃいけねぇ、と諭し、とうとう全員連れてきた。 「どこだ?ここ。帰れるのかぁ?」 「ったりめーだ」 「ボスはとうとう縄張り進出をしたのか」 「……よぅし。あそこだぞ。駆け足っ」 この月火は連続で、朝早くから赴き、放課後すぐに再来し、入念に下調べをしたおかげで、奴がどこでポチと合流しているかが分かったのだ。そしてツケ回し、隠れ場を暴いてやった。 「え、ここに入るのか?」 「暗いな」 「汚そうだぞ。大丈夫かよ」 「テメェら俺が先に行くから四の五の言わずについて来いったら!」 そこは子供一人が横向きに歩いてやっと通れるほどの狭い道。 だが、それは入り口だけで、奥に進むに連れて、若干幅が増してくる。 上手い具合だ。よくこんな場所を見つけたものだ。 だが、感心する余地もない。 なぜなら、俺だって河合に関して言えば、どこどこの住宅と住宅の間がどれくらいで、なんか知っている。もっと言えば、塀の上や田んぼのコンクリートの細い仕切り枠のうち、躓きそうな場所をリストアップすることさえできる。 「うわ!わわわわわ!!」 奥から聞こえてきた急な声に、三人は驚いて後ろに飛びのく。 だが俺は「早く来い!」と急かしながら、まだ進んで行った。……、俺だって、心臓が飛び出そうなくらい驚いたのだが、我慢したのだ。俺より後ろの人間が俺より怖がっているようでどうする。 「お、おいおい、犬には近づかない方が良いんじゃ…」 「弱虫め。女かよ」 彼らにも、事前に前情報として今から会いに行くのはある大型犬であるということと、吠えついてはくるが噛まないということを教えておいた。
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