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覚悟を、感じる。 シンパシーと言うのだろうか。 こいつは、いや、こいつも、何かを賭けている!! 「くそぅ!くそぅ!何なんだ!もうちょっとなのに!」 「ワウッ!ワウワウワウッ!!!!」 「ひっ!!」 飛びかかるようなそぶりを見せてきたので、俺は後ろへのけぞった。 なんていう力強さなのだろう。 この気迫を生み出しているのは、一体なんだ。 そして俺はとうとう、その犬の首に体にに使わないくらい小さく華奢な首輪がついているのに気がつく。まさかこいつは………! 「はい、ターーーーッチ」 「!!!」 後ろを見ると、あの男が笑っていた。 やっぱこの犬は、こいつの回し者!! 「てめぇ!汚ねーぞ!なんだって犬なんか一対一の勝負に…」 「悪いのか?」 「っ!!」 いきなり、鋭い視線に突き刺されて、俺は動けなくなる。「そりゃそうだろ!」と叫びたいのに、喉がつっかえてしまう。 「こいつは、俺の忠実な手下なんだ。分かるか?」 「なんだとぅ!そんな犬、そんな犬……」 言葉がしぼんだ。考えてみると、犬はずっと飼い主のそばにいるのだ。「習い事があるから」なんて寂しい言い訳をして、活動をポカすることもない。 人を相手にするよりも、よっぽど付き合いが濃くなっているのではないか。それはすなわち、信頼関係がみっちり築かれているということである。 さっきの必死さが、その証明だ。 愕然とした。 俺の率いる子分のうち、あれほど主君を選び、慕ってくれる人がいるだろうか。 「 ……俺はな、ずっと訓練してきたんだぜ?………ゆとりの代表として」 視線を上げると、あの男が笑っている。 首を絞められたような気がして、俺はすぐに目をそらした。 …そうか。あいつはゆとり世代の、ガキ大将だったんだ。 その頃の河井を、総括していた人間だったのだろう。 「…いや、違うぞ?多分、お前が思ってるのとは」 「なっ!」 読心術??そんなモノまで会得しているというのか! 「反応を見るに、図星だったようだが…。俺が捨て犬だったポチを拾い上げ、最強の助っ人に仕立て上げたのは、もうゆとり教育撤廃の声が大きくなっていた時の頃だった。俺はあの頃から、自分の危なっかしさに気がついていた。ゆとりというだけで、失望される時代が、やって来るかもしれない、と」
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